就職活動の時期変更が氷河期の再来を告げる。大学生・高校生の内定率から見えてきた日本の就職事情と根深い課題とは

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2015年11月21日、大学生の就職内定率が減少に転じたと文部科学、厚生労働の両省の調査結果が発表した。国内景気の上昇傾向と共に、過去4年間上昇を続けてきた就職内定率が5年ぶりに低下。個人的にもっと大きなニュースになっても良いと思うほどのインパクトだった。各社のメディアを読み漁ったが、減ったという事実のみでその背景まで考察しているようなものがなかった。そこでrplayで今回のニュースから読み取れる大学生の就職。それに付随した高校生の就職、日本全体の採用シーンと相対的に比較をしていくことにした。

実際どの程度の変化があったのか。何が原因だったのか。着地はどの程度になるのか。来年はどうなるのか。様々な角度から掘り下げ、分析していく。

大学生の就職事情と課題

1.過去7年で最大の就職希望者人数で就活がスタート

参照:第32回 ワークス大卒求人倍率調査(2016年卒)

就活解禁時の就職希望者の大学生・専門学校生の人数は78.7%と過去最高だった。筆者もこの調査より、今年は過去最高の内定率になるに違いないと予測をしていた。

2.結果は減少。どの程度の変化があったのか?

だが、10月1日時点での文部科学・厚生労働の調査の結果は、「2016年の春に卒業予定の元大学4年生の就職内定率は低下した」というものだった。これは、前年同時期より1.9%ポイント減となる。

全国の国公私立大から62校の計4770人を抽出し、就職希望者に占める内定者の割合を調べた。就職希望率は国公立大の内定率は68.6%(前年同期比1.7ポイント減)、私立大65.8%(同2.0ポイント減)といずれも前年同期を下回った。


参照:日経新聞,朝日新聞デジタル

就活生全体の人数は約60万人ということを考えると、約3万人内定を持っていない学生が増加したという計算になる。これは驚くべき数字だ。

3.原因は「説明会開始・面接時期の後ろ倒し」か

では、この原因は何だったのだろうか。企業の求人総数に昨年度とそこまで変わりがないことを鑑みると、企業の面接など選考活動の解禁時期が従来の4月から8月にずれた影響で、企業が内定を出す時期が地方を中心に遅れていることや、大学生が内定先を絞っていないことなどが背景にあるとみられる。

男子内定率:65.8%(同1.8ポイント減)
女子内定率:67.2%(同2.2ポイント減)

文系内定率:65.9%(同1.4ポイント減)
理系内定率:69.2%(同4.3ポイント減)

参照:厚生労働省発表データ

また、厚生省のまとめた就職活動に関する調査データを見ると、特に無い内定の学生が増加したのが理系の学生であることが分かる。選考開始時期の遅れに伴い、選考と卒業論文や研究発表の時期が重なったことによる、就活の遅れが大きな理由としてあがってきそうだ。

4.最終着地はリーマン・ショック並みと予測。無い内定増加へ

ここまでの話を一旦推計としてまとめると以下のような数字になる。
内定を獲得した学生:約29万人
内定を貰っていない学生:約15万人
文科省は最終的な就職率は08年のリーマン・ショック前の水準並みになるのではないかとの見解を示していることからも、今年の就職戦線はかなり雲行きが怪しいまま収束をしそうである。
国内経済は上向きの中、リーマン・ショック並の水準で着地するというのはかなり異常自体とも取れる。ちょうど昨日17年度に卒業予定学生の代の面接解禁時期が6月に変更という話からも就職偏差値のような格差が今年も拡大していくと思われる。企業にとっても学生にとっても進めやすいスケジュールを組んでいただきたいと願うばかりだが、就活をする側としてはこういった国の変更に闇雲に振り回されず今から積極的に行動をしていってほしいと願うばかりだ。
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高校生の就職シーンと課題

1.一方で高校生の就職率は20年ぶりの高水準に

ここまで大学生の就職内定率に関するデータをまとめ、考察をしてきた。本記事は、最終的に鷹の目で日本の就職シーンを分析することにあるので、高校生の就活シーンにも目を向けてようと思う。
実は、同日に厚生労働省が2016年3月卒業予定の高校生の就職市場に関するデータを公表している。こちらも合わせて紹介しておく。
結論から言うと、内定率、求人倍率ともに前年同期を上回り、好調な景気を背景に就職状況が好転しているという結果になった。
学校やハローワークからの職業紹介を希望した生徒の状況をまとめたデータが以下である。
内定率:56.1%(前年同期比1.7ポイント増)
求人倍率:1.83倍(同0.24ポイント増)
 
男子内定率:60.1%(同1.6ポイント増)
女子内定率:0.4%(同1.7ポイント増)
 
参照:厚生労働省発表データ
求人数は約32万2000人で前年同期比で15.2%と大幅に増えた。地域別にみても求人倍率が1倍を超えなかったのは鹿児島(0.99倍)と沖縄(0.92倍)の2県だけで全国的に求人が好転している姿が浮かぶ。
前年は人手不足が指摘されていた建設業などでの求人の増加が目立ったが、今年は輸送用機械器具、電子部品などもの作りの現場で20%を超える求人の伸びが目立った。厚労省若年雇用対策室は「製造業での求人の伸びが目立ち景気回復の影響を感じる」と話している。

メディアに踊らされない!日本全体の雇用を徹底分析

1.正社員が減り続ける。非正規は大台4割へ

パートや契約社員、派遣社員など非正規雇用の社員が初めて雇用労働者全体の4割に達したニュースをご存知だろうか。2014年の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」でわかった。
マスコミや政府は「アベノミクスの効果で雇用は100万人以上増えた」と主張するが、実は増えているのは賃金が低く身分も不安定な非正規社員であることがここから伺える。

2.正社員は3年で56万人消失。その原因は?

ここ3年の比較でも、雇用者数全体は121万人増えているが、その内実は非正規社員が178万人増え、正社員は逆に56万人減っているのだ。
好景気のため働いていなかった人がパートで働き出し、定年後に非正規で働く高齢者も増えているとの主張もある。確かに60歳を過ぎても希望者を雇用する義務を企業に課したことでパートの高齢者は増えているが、正社員の減少は企業側の都合で起きている面が大きいと思われる。

3.30〜40代の非正規社員が増えている事実が発覚

日本の正規雇用人数が急速に減少している。さらに詳しく見ると30〜40代の非正規社員が増えている事実が見えてきた。この世代は、1993〜02年ごろの就職氷河期に学校を卒業した人々で、就職や転職をしようとしても条件の良い就職先がなく、非正規の職を転々としてきている姿は想像に容易い。

引用:総務省統計局統計調査部

この「氷河期世代」の非正規雇用者は150万人とも言われ、すでに40歳を超え始めている。大きな視点でこれを捉えると、この減少自体が少子化に直結していることが考えられ、いずれ無年金のため生活保護を受給するようになれば、社会的負担は膨らむばかりである。
これから就職していく大学生や、就職はしたかったけれどできなかった私達世代が、この世代の生活を負担していくという未来は不安にすらなる事実だ。

総括

1.今後はどうなる?雇用側の視点から分析してみる

・大学生の内定率は減少し、リーマン・ショック並に。
・高校生は作業要員としての雇用は拡大も総合職としての雇用は伸び悩む(ビジネスをリードする人材では無いケースが多い)。
・就職氷河期世代の非正規雇用の拡大。

と様々な角度から日本の雇用を分析してきた。ここでは最後に企業側の雇用に関する現状を分析していく。まずは下のグラフを見てみてほしい。
企業が非正規社員を雇用する理由で最も多いのが「賃金の節約」である。有効求人倍率(2015年8月時点)は好景気を反映して1.23倍と二十数年ぶりの高水準だが、正社員に限れば0.76倍と1倍を下回っており、雇用はしたいが正規社員では雇えないという厳しい現実が垣間見えてくる。

2.今後は求人数も人口も減少。なのに人材不足を感じる企業の矛盾

引用:富士通総研(今こそ「日本的雇用」を変えよう)

上記でも触れてきた通り、正規雇用をできない企業が増えている。同調査データでも企業が非正規社員を雇用する理由のうち「正社員を確保できない」が前回調査(10年)の17.8%から26.1%へ増えている。
大学生の就職率が低下し、高校生でも作業要因的な採用が増え、高齢者が増える。正社員雇用をできない企業が増える。このサイクルが回り続ける限り状況の好転は望めないように思えて仕方ない。

最後に

いかがだっただろうか。今回の考察はあくまで個人の調査と考察によるものなので、間違った見解もあるかもしれない。この記事を読んだ皆さんからもご意見をいただき、一緒に今後について議論していければ嬉しく思う。

また、いかにこの自体を当事者として捉え、明日の行動に移せるかが一番重要だと思う。例えば、筆者の知り合いの慶應生などは、すでにほとんどが眼の色を変えて就活をはじめている。友人通しの情報交換も活発だ。

一方、地方の大学の知人などは、就活は来年3月くらいから動けばいいんでしょ?位の感覚の人がほとんどである。確率で言うと3人に1人は就職できないという客観的事実を受け止め、自分がその側にならないために必要な行動を逆算して今から動いていくべきだし、少なくともそれができる人材を企業は求めているのは間違いない事実である。

最後に。今回調査を進める中で、様々な日本の雇用の問題が明らかになってきた。rplayはこの問題に一つ一つ取り組み、解決していくメディアでありたいと思っている。大学生の就職・社会人の転職シーンでナビサイトでは収集しきれないけれども優良な情報を探し本メディアでお届けしてきたいと思う。

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