「将来起業したいのですが、就職してから起業をするのと、まずは一度就職をしてみるの、どちらが良いですか?」
将来世の中にビジネスを通じて一石を投じたいという想いを持った学生から良く相談を受ける。
学生時代に起業し、失敗→新卒で50名規模のベンチャーに就職→退職し、起業という筆者の最適解は、条件付きで「就職する」に落ち着いている。
現時点での見解となるが、自分なりに現在考えていることをまとめてみた。
同意は勿論、反対意見も大歓迎なので、ぜひコメントで皆の意見をお聞かせいただければ幸いだ。
「学生時代に起業すること」のメリットとデメリット
学生という立場でありながら、自分で全ての責任を追い、ビジネスを行い収益を得るという経験は他に変えがたい物である。机上の空論でない、リアルな体験は必ず後に活きてくる。
ハードルのオリンピック出場者で現在は起業家でもある為末さんのブログで『当事者になるつもりがない人(http://tamesue.jp/20150921/)』というテーマの考察が筆者の意見に非常に近かった。
内容を端的にまとめると、
当事者になるつもりがある人と、ない人がいる。何が違うかというと前者は目的を達成する担当は自分だと思っていて、後者は担当は自分だと思っていない。前者は目的を成し遂げること以外は手段だと思っているからあらゆる手を尽くすが、後者は目的を成し遂げる担当は自分ではないから、手段や仲間や面子にこだわり、うまくいかなかった時は誰かのせいにする。
といった具合である。
どんな環境で何をする上でも、当事者意識のある・なしが仕事の結果に大きく影響すると筆者は考えており、このような経験とスタンスを作る上で学生時代に起業することは非常に有効な手段であると考える。
他にも、
・学生という身分を活かしたビジネスを行いやすい
・周りに対して、こいつは起業するという行動力がありそういうやつというブランディングも自然と出来て行く
など学生時代だからこそ得られるメリットも大きいと感じる。
逆にリスクと言えば、事業が失敗し赤字を被ることくらいではないか。
ただ、幸い現代であれば、プロダクトを世に出すコストを極限まで抑えられる環境があり、ユーザーからのフィードバックもすぐに得られる環境が、スマートフォンの台頭と付随し形成されてきている。
結果、仮説検証のPDCAサイクルを短期間で回しやすいので、一旦プロダクトを出してみて、改善→駄目だったら撤退することもできる。
その反省を活かし次にトライすれば良いので、得られるメリットと比べ、リスクはとても小さい物に感じる。
就職するメリットとデメリット
次に大学卒業後、「企業に就職する」ということについて。これについても筆者は賛成である。
筆者が、卒業後に就職し得られると考えるメリットは下記の3つだ。
・既に成功しているモデルケースの内側を肌感覚レベルで理解できる
・学生時代に自分がやって上手く行かなかったことの正解が見れる
・ある程度、収益的な余裕を持ちながら、起業に対する準備をすることができる
ここで就職するという選択をするということは、学生時代に行ったビジネスが上手く行かなかったということではあるが、その失敗を元に、自分の行くべき進路を選ぶことができるので、目的意識を明確に進路選択ができるし、入社後のミスマッチを起こすことも少なくなると思う。
逆にデメリットは、「牙を削がれる可能性がある」ということ。
俺は将来起業する!そのためにまずは3年入社して学んでくる!と言って入社していった友人は今は当時の面影無く、夜な夜な飲み会で上司や会社の愚痴をこぼす者ばかりである。
当然彼らの選択を攻める気など毛頭無いが、少なくとも当初の「起業する」という目的は達成できていない。筆者も身をもって体験しているが、決まった時間に会社に行き、与えられた仕事をしていれば生活できて貯金もできる恵まれた環境を全て捨て、20代後半で、0から挑戦するハードルは限りなく高い。このリスクを入社時点で認識した上で就職していくべきである。
「大学卒業後、ストレートに起業すること」のメリット、デメリット
目的が単純に社長になることなのであれば、20万ほどあれば簡単に登記でき、目標は達成される。
ただ、多くの方が、「起業し、事業をつくり、スケールさせること」が目的の場合、この選択に下記2つの大きなリスクを感じる。
・現時点での知見の中からビジネスアイデアをひねり出すので、そもそもビジネススケールが小さくなりがち
・キャッシュがないので、短期的な収益を作る所にコミットせざるを得ない状況に陥りがちで結果ジリ貧になる
大学卒業後、立ち上げた事業が失敗した場合、採用をしてくれる門戸は、広くないのが日本の現状だ。この点を考慮すると、この選択はリスキーであると感じざるを得ない。
結局、何が一番いいのだろうか
ずばり筆者なりの最適解は、「学生時代に起業→新卒で就職→2〜3年働いて起業」することである。
まず、学生のメリットを存分に使い事業を立ち上げ、事業が軌道に乗ればそのまま卒業以降も続ければいい。
卒業のタイミングで事業売却をして就職することもできる。企業はそのような人材を喉から手が出るほど欲しているし、就職の軸も明確になるので、すばらしいキャリアのスタート地点に立てるに違いない。その後、本当に起業したい人は、就職し得た経験を活かして成功確立の高い事業を立ち上げるだろうし、起業しないという結論を出すこともできる。
以上が、永遠のテーマである、「起業か就職か」という問に対する筆者の答えだ。賛成意見も、反対意見もあると思うので、ぜひ皆の見解を聞いてみたいと思うので、ぜひコメント欄に賛成・反対をいただければうれしい。
最近では、個人事業主という選択もスタンダードになりつつあるので、後日このあたりについて考えをまとめていこうと思います。引き続き、rplay編集部をよろしくお願いします!