「学ぶバックパッカー」アジアを拠点に活動する団体、[ADYF]の国内外のフィールドワークを通して見えてくる国際協力の形とは?

アジアを中心に、国際・社会問題を国内外で研究している学生団体のADYF。国際系の団体はたくさんありますが、ADYFさんは他とは一味違うようでした。「学ぶバックパッカー」、その正体は…!?

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何をするにも「知る」ことが一番重要で一番大切。動く前にまずは知る!

ボランティアをしたり、何かに協力したり…でもその支援って、本当に現地の人々の支援になっているのか?そう考えてみると、自信を持って”はい”というのは難しいかもしれません。もしかしたら、良いと思ってやっている支援が実はあまり必要のないことだったり、むしろ迷惑…そんなこともありえますよね。現地の人々にとっての本当の問題は何か?それに向かってどう支援すべきか?という、現地を学ぶ、「知る」ことに重点を置いている団体こそが、ADYFです。その活動内容について取材してきました!

ADYFについて取材させていただいたお2人の紹介

東京大学3年 鈴木大河さん

明治大学2年 田中秀佑悟さん

団体創設のきっかけはなんでしょうか?

元々は、当時ADBアジア開発銀行(以下ADB)の幹部だった吉田先生(現東京大学名誉教授)がADBに依頼されて創設されたのが始まりで、最初は大きな会議をやっていたらしいです。その後様々な変遷を経て今は「学ぶバックパッカー」をモットーとした「支援する前にまず知る、そして伝える」を理念に、アジアの途上国の社会問題を国内外フィールドワークで学び、知ることの大切さを発信しているリサーチ団体です。

活動の中で印象に残っている出来事はありますか?

途上国の現状について印象に残っているのは、カンボジアにおける森林伐採問題について調べていた時のことですね。僕たちは国内でのリサーチを通して、カンボジアの森林を守る保護林制度において、森林資源を伝統的に使ってきた住民と、森林資源を保護したい行政の間では意見の不一致があり、住民の意見は十分に行政に届いていないのではないかと思っていました。しかし実際に行ったカンボジアのTmatBoey村というところでは、住民と地元行政の人はすごく話し合ってその土地にあった森林利用のあり方を決めていました。

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-実際には住民の方も森林資源についてちゃんと考えていたんですね?

そうなんです!年に2回、村の住民の8割くらいが参加する全体ミーティングというものが開かれているらしく、そこでは例えば1家族当たり1ヶ月に何本の木を切っていいという制度を決めているらしいんです。全体ミーティングの警備員をしている人には、毎回議論が白熱してみんなをなだめるのが大変なんだよ~と笑いながら話していました(笑)こんな感じで現地の実情を地元の人から直接聞けるところがADYFの面白さでもあると思います。

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-現地の方にインタビューするのは大変じゃないですか?

はい、カンボジアは現地の言葉がクメール語なので英語が通じないなどの言語面、森林伐採が深刻なのは地方であるため、アクセスが大変などの交通面、さらに自費でリサーチを行っているので費用面など、自分たちで企画から渡航計画まですべてやるからこそ様々な困難に直面しました。実際にカンボジア森林保全班ではリサーチが難航して思うように成果があげられずにいて、最後2~3日で住民にインタビューするチャンスがありましたが、費用が一人あたりかなりかかってしまう上に片道8時間かかる状況になった時がありました。これは費用が高すぎるから無理かなと班長の僕が思っていたら、メンバーが皆、「いや、ここまで来たらお金は出すからリサーチを最後までやろう」と言って喜んで協力してくれた時は、本当に嬉しかったですね。

メンバー間での印象的なエピソードはありますか?

ADYFのフィールドワークでは、2週間共に過ごしてフィールドワークとディスカッションを重ねていく中で、お互い方向性や意見が対立することもあります。僕自身メンバーから不満をぶつけられたり、先輩に怒られたりすることがありました。でもだからこそお互いの価値観まで深く知り、同じ目標に向かって頑張ることができることがADYFの良さの1つでもあると思います。今ではメンバー同士で衝突したことも良い思い出です(笑)

現地に行って調査を行う前と後で、なにか変化はありますか?

リサーチの内容がほとんどの班で変更されるんです。事前学習と現地での問題の重要度が全然違うことが多いですね。女性差別の問題があると思っていってみたら、実際には民族によるヒエラルキーの問題のほうが大きかったりするなど、現地に行ってからわかることが多いです。でもそういった現地と事前学習とのギャップが大きいからこそ、毎回フィールドワークが楽しみです!

ADYFの活動だから得られた経験はありますか?

例えばモンゴル医療班では日本が実施したある支援プロジェクトについて調べていて、普通は支援プロジェクトっていうと良い側面しか一般の方には届かないじゃないですか?でも医療班ではうまくいった地域だけでなく、プロジェクトが継続されなかった地域にも着目して調査を実施して、支援のあり方がどうあるべきなのか調べました。このように支援の良い側面だけでなく広い視野を持ってリサーチを行うことで、普通では得られないより良い国際協力のあり方に対する新たな発見が得られるのではないかと考えています。

-リサーチ後の国内での報告会では、専門家や大学の教授にも来ていただいていますが、報告に対しての反応はどうですか?

正直専門家や教授との知識の差がありすぎて、フィードバックでは厳しいお言葉をいただくことのほうが多いですね。このようなフィードバックは自分たちのリサーチを改善していくためにも非常にありがたいと思っているので、今後もより多くの方に最終報告会に来ていただけると嬉しいです。OB・OGの方々も報告会に駆けつけてくださいますし、オンライン上でリサーチに対するフィードバックをしてくださったり、団体用の記事を年に数回発行してくださったり、様々な側面から現役メンバーをサポートしてくれます。

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ADYFの魅力は?

国際協力について「知る」ことに重点を置いている点です。自分が興味のあるテーマについて調べるために、1からリサーチ企画を立案して自由にフィールドワークを計画することができます。また、様々な視点から国際協力への携わり方が学べることも魅力の一つです。実際に発展途上国にいって、ボランティアをするのではなくその前に国際協力について「知る」ことが目的なので、現地の方にインタビューするだけでなく、世界銀行などの国際的な機関、JAICAなどの日本の公的機関、そのほかにも国際・現地NGO、企業、行政、教授など様々な方々にお話をお伺いして、それぞれの職業の方がどのような思いや形で国際協力に携わっていらっしゃるのか直接聞くことができるので、大きく視野が広がりますし、自分の今後について考えるきっかけにもなります。

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