メルカリカンファレンスVol.1「メルカリUS」カイゼンの最前線

日本初のユニコーン企業であり、設立から3年半ほどで日米6,000万ダウンロードを超えたCtoCアプリの「メルカリ」。そんなメルカリのディベロッパー、プロデューサー向けのイベントである、「メルカリカンファレンス」が1月20日(金)に行われた。メルカリカンファレンスの模様を内容ごとに幾つかに分けて公開していきます。

メルカリUS”カイゼンの最前線

パネラー:荻原 裕太(元iOSエンジニア/PM/Github)/森山 大朗(元エンジニア/PM/ Twitter
モデレーター:伊豫 健夫

プロダクトで共通しているところ、日本と大きく違うところ

伊豫:日本の方がガラケー時代からモバイルになれているので、海外とは結構違いましたね。ユーザービリティテストをメルカリでは頻繁に行っていますが、ユーザビリティテストを通して考えたこと・思ったことは何かありますか?

森山:日本人より捉え方の感性が違う。しかし、細かいところでつっこまれることもある。

伊豫:一番驚いたことは、出品ボタンに気づかない人もいた。一番目立つようなボタンだが。ハンバーガーメニューから出品にいって、出品できるようなところにいけたが、根底から気づかされた。たまたまだと思ったら10人中1人程度しかわからなかった。

ほかにも値段の表示で下に書いてあるシンプルなのにわからなかった。海外の人はスクロールが早く画面を触るので、出品や価格表示がわからないということがあった。自分たちが思っている以上に国が違えば使い方が変わるということだった。

Buyer、seller側でどのような違いがあるのか?

森山:検索に気づかれないことがあった。一つの小さい画面でぴっちり決めないでおくことが大切だと思います。

伊豫:日本人のモバイルの使い方は探すというのがあるけど、ちょっと触ってわからなかった向こうは触らないことがある。だんだんシンプルなデザインにトレンドが流れているけど、ユーザビリティテストの結果からわかる気がします。

企画面からプロダクトを考えること

森山:あれこれ機能を思いつくが、見た目のインパクトから考えて、優先順位を決めています。リソースも限られているので。

伊豫:メルカリだと、15本くらいABテストが回っていると思いますが、どのくらいの頻度で開発をやるのですか?

森山:実装早いものだと1週間程度ですね。API周りとかだと1週間くらいで実装して、テストなどを行います。

海外だと出品がそのままの写真で行われる

萩原:その場にあるものをそのまま出品するのが特徴ですね。最近やった施策だとカメラとかライブラリから、長方形でも出品できるように正方形にクロップしないとかユーザーのそのままのものを表示するということをやりました。

伊豫:日本人だと正方形に収まるように実装するけど、それだとお問い合わせにつながるので素直に変えていくというのが特徴ですよね。

萩原:出品者は情報の入力が多いですよね。できるだけ少ない工数で行動を起こしたい、アイテム名だけで出品できると思っている人が多いので、シンプルに見せるというのが大切だと思います。

伊豫:基本的に読んでくれないですよね。ヘルプなどの注釈も読まないですよね。指の辿る通りに配置する。ユーザビリティテストをしっかりやるとわかってくることも多いですよね。

プロダクトのポイントは、何をやる画面なのか明確化する

萩原:なるべく画面で「何をやる画面なのか」を明確化しています。

森山:バイヤー側だと、アプリをなんとなくが眺めている、興味があるものが見つかったときでは使い方が違います。目当てのものが見つかったときは論理的に見つけていくんですよね。USだと興味を抱いてから絞り込んでいくところを対応するのが大切だと思いますね。

伊豫:ユーザビリティテストの気づきが多かったですね。指先の使い方、スマートフォンに対するものの見方など異なるものが、頭ではわかっていましたが多かったですよね。メルカリでは大人数ではなくても、10-15人のテストでも施策につなげていますね。

プロジェクトマネージャー論について

森山:Redmineのチケットを細かく書きますね。仕様を細かくして実装できるレベルまで落とし込んでいます。「クエリーが書いてあるレベル」みたいな。ただ、エンジニアと相談して作っていく方がより良いものができると考えているので、メルカリの流れとしても細かくしすぎないのを気をつけています。

萩原:私はプロダクトマネージャーですが、ディレクターも別にいます。ディレクターが要件ややりたいことが書いてあったりするので、ある程度まとまった状態でエンジニアやQ&Aの人を入れて「本当にやりたいことが何か、必要なのか」などのプロセスを経て決定していますね。

森山:検索の機能改善の場合は、自分が細かく設計した方がいいと思っています。また、ミーティングを減らしたいと考えています。メルカリはとくにミーティングが少ないので、すごい良いな、と思っているのですが、1on1のミーティングはやるようにしています。

伊豫:エンジニア側から設計などについて突っ込まれたことはありますか?

森山:今の所ありませんね。突っ込まれたら素直に反省して修正します(笑)

伊豫:1on1のミーティングではチームメンバーと何を話すんですか?

森山:メルカリなんで入ったのかとか笑 あとは、準備しなくていい、何を考えているのか個人的なコミュニケーションをするというのをやっていますね。

萩原:プロデューサーからウォーターフォールで落ちてくるよりいいなと思いますね。デメリットはそんなにないと思っています。ミーティングが全部が全部無駄だとは思っていませんね。

伊豫:みんながミーティングに参加すると企画が散らばりませんか?

萩原:意思決定者を決めておけば、ぶれなくなります。そこは気をつけていますね。

メルカリのプロダクトの企画面での注意するポイント

伊豫:二人とも各チームがそれぞれやりやすいやり方をされているということですね。企画での自分の視点とかはありますか?

森山:「合成の誤謬」ということに気をつけています。

例えば、メルカリは途中からABテストでの結果から2列から3列になったこともありました。これの効果によって、出品ボタンが認識されなくなったということがあると思います。これが「合成の誤謬」です。

一つの施策で他の施策の数字が変わってしまうということも多くありますよね。一つの数字をみるだけではなくて、感覚が大切も必要だったりします。

伊豫:1つの見ている数字が上がったら確かに喜んでしまいますよね。メルカリでは分析チームがあって、そこからも客観的に指摘されるのでそこで反省することもありますよね。

萩原:UIには気をつけています。もともとiOSエンジニアなので、遷移の仕方など細かいことも気をつけていますね。

伊豫:ガイドラインなど細かいところも大切ですよね。その辺りはご自身のバックグラウンドなども影響しているということもありますよね。

メルカリカンファレンスの他の内容は随時更新していきます。