「会社に行くことなく退職したい」「退職を上司に伝えたいが、どうしても言い出せない」という悩みを解決してくれるのが退職代行サービスです。しかし新たに登場したサービスであるだけに、分からないことが多いのも事実。第三者に退職を伝えてもらうのは詐欺にならないのか、失敗事例はないのか、そうした気になるポイントについて紹介します。
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退職代行自体は詐欺ではない
退職代行サービスの需要は高く、いかに「辞めたくても辞められない」ビジネスパーソンが多いかということが伺えます。
しかし新たに登場したサービスだけに気になる点が多いのも事実。特に気になるのが「詐欺になるのではないか」という点でしょう。
具体的に言うと、第三者が退職連絡を代行することは「非弁行為」に当たるのではないかという疑問です。非弁行為とは、簡単に言うと弁護士以外が報酬を得る目的で法律業務を行うことです。退職代行サービスはこれに該当するのでしょうか。
結論から言うと、非弁行為には当たりません。重要になるのは誰が退職意思を伝えているかという点です。退職代行サービスでは、退職の意思を伝えるのは本人が作成した退職届となります。
代行業者はその退職届を持参して届けるだけの単なる使者であり、この行動は非弁行為には当たらないと考えられているのです。
ただし、届けるだけではなく退職日の調整や退職金の話し合いまで行うとなると、非弁行為になる可能性が高くなります。民間の代行業者がこうした交渉を行うことはできないということを覚えておきましょう。
テレビや新聞など各種メディアでも紹介されている
退職代行サービスはインターネットで広がり、その後テレビや新聞などのメディアでも取り上げられるようになりました。参入する業者も増加傾向にあり、にわかに注目を集めています。どんなサービスが気になるときは、そうした報道に目を通してみるのもおすすめです。
退職代行で詐欺に合わないためのポイント
退職代行は新しく登場したサービスであるため、詐欺に遭うのではないか、危険な悪質業者が混じっているのではないかといった心配をする人も少なくありません。
退職できなくて困っているのに、それを解決するために選んだサービスで詐欺に遭っては元も子もありません。
精神的に参っている状況では、二次トラブルが思わぬ被害を生む可能性もあります。また、退職自体はできたものの、料金が高かった、対応が雑だったといった理由から精神的なしこりが残ってしまうこともあります。こうした事態を防ぐためには、業者選びを慎重に行うことが大切になります。
退職代行会社の会社情報を確かめる
まずいきなり依頼するのではなく、ホームページなどで会社情報を確認しましょう。まずはその会社の実績です。サービスの内容が良くても、成功率が低くては元も子もありません。
また成功率が高くても実数が伴わなければ心配になってしまうもの。この2点は確認しておきましょう。この他、過去の事例や月間相談数なども参考になります。無料相談を行っている会社なら実際に相談してみて、対応の仕方を見てみるのもおすすめです。
弁護士の監修を受けているか否かという点も重要な判断材料となります。受けていれば絶対安心、という訳ではありませんが、やはり確認しておきましょう。
料金についても確認しておきましょう。金額が大社と比べて以上に高い、一見良心的なだが大量の追加料金がかかるなど、お金に関する項目はよくチェックしておくことが大切です。分からないこと、不安なことがあればメールや電話で問い合わせを行うのがいいでしょう。
この他、返金保証制度があるかも大切なチェックポイントとなります。退職代行が失敗するケースは多くありませんが、万が一に備えておくと精神的に安心できるでしょう。
Google Mapで実在している住所かどうか確認する
詐欺会社か否かを見分けるポイントとして、実在する会社かどうか確認しておくという方法があります。会社の所在地を調べたら、Google マップなどで位置を確かめてみましょう。建物の外観や上空写真を見ることもできるので、大きな判断材料になります。
ある程度知名度の高い業者に依頼する
退職代行サービスは、近年多くの業者が参入しています。ある程度知名度があり実績がある業者に依頼するのが安心です。
利用している人が多い分ノウハウが蓄積されているため、自分に合った対応をしてもらえる可能性が高くなるからです。また、利用者の多い退職代行業者は成功率が100%というところが多いため、失敗する危険性も低くなります。
弁護士事務所に依頼する
未払い残業代を請求したい、有給休暇を消化したい、パワハラの慰謝料を請求したいといった事情があるなら、民間の退職代行業者ではなく、弁護士に依頼するようにしましょう。こうした交渉は民間業者では行うことができませんが、弁護士であれば可能です。
退職意向を伝えるところから、トラブルを解決するまで全て任せることができるので、自身は安心して過ごすことができます。
また弁護士に依頼すると、弁護士が代理人として会社と交渉する形になり、会社から直接電話がかかってくることもなくなります。
料金も5~7万円程度とやや高めに設定
弁護士による退職代行サービスは、民間業者よりも代行範囲が広いため、料金も5~7万円程度とやや高めに設定されています。手続きの事務代行を依頼した場合などはこれにオプション料金が必要になることもあるため、契約する前に料金についてよく確認しておくことが重要です。
交渉内容によっては着手金や成功報酬が発生することもあります。また、弁護士の業務範囲は広く、中には退職代行についてあまり知識がない事務所も存在します。
依頼する前にその事務所の得意分野をよく確認しておきましょう。
退職代行で退職できないことはあるの?
退職代行を依頼したのに、退職に失敗してしまったという事例はあるのでしょうか。万が一失敗した場合、「退職代行を使って辞めようとした」というレッテルを貼られながら、自分で交渉を行わなければなりません。そんなことは果たして起こり得るのでしょうか。
退職は労働者の権利なので退職はできる
まず重要になるのが「退職できない」という事態は起こり得ないということです。労働者は法律で退職の権利を認められています。
つまり退職代行に依頼するしないに関わらず、「辞められない」ということはないのです。会社側が退職を認めないのであれば、それは違法行為となります。
会社都合で退職できなかった例はない
「会社都合退職」とは、会社側の経営不振や倒産を理由に、一方的に労働契約を解除することです。この場合「退職」ではなく「解雇」の扱いになります。退職代行を使ったことを会社側が不満に思い、解雇扱いになるというケースを心配する人もいます。
というのも、解雇扱いで会社を辞めると、転職活動の際辞めた本人に問題があったのではと勘繰られる可能性があるからです。
しかし現実として、退職代行を使ってまでして会社を辞めたいと思っている人間と揉めるのは、会社側としてもデメリットが大きくなります。そのまま辞めてもらった方が後々面倒がない、ということで、解雇扱いになるケースはほぼありません。
退職を言い出しにくいなら退職代行に頼んでみよう
会社を辞めるのは、労働者の大切な権利です。辞めたいのになかなか辞められない、というときは、退職代行サービスを利用することも検討してみましょう。
登場したばかりで分からないことが多いなら自分で情報を集め、納得した上で信頼できる業者に依頼するようにしましょう。それが納得のいく退職に繋がるはずです。