退職代行は社労士にも依頼できる?メリットやデメリットを調査

日本では職業を選択するのは自由であると法律に定められています。ですから現在働いている会社を辞め、違う会社に勤めることは本来ならば誰も咎めることはできないのですが、実際には会社員全員が必ずしも自由に職業を選択できるような環境にいないのが現実です。そういったときに心強い味方となってくれるのが退職代行サービスです。ここでは退職代行サービスについて詳しく解説します。

退職代行を社労士に頼むことはできるのか

弁護士や司法書士といった士業と呼ばれる職業の中に、社労士という職業があります。社労士は会社における人材の取り扱いのプロと呼ばれるような職業で社労士に協力してもらうことによってコスト削減やリスク回避の恩恵を受けることができます。業務内容を確認すると社労士にも退職代行を依頼することができそうに思えますが、実際はどうなのでしょうか。

退職代行を社労士に頼むことはできる

結論から言えば社労士に退職代行を依頼することは可能です。ただし退職代行を社労士に依頼するにあたってはいくつか注意しなければいけないことがあります。

弁護士ではないので会社との金銭的な交渉はできない

退職代行サービスを行ってくれる業者としては社労士のほかに弁護士や司法書士などもあります。弁護士や司法書士は法律全般に関してのプロです。したがって未払いの賃金や残業代などがあった場合、そういったお金の支払いに関して法的な判断に基づいて会社と交渉することができます。

会社と金銭的な交渉することは違反に当たる

ところが社労士は社会保障などに関しての知識は豊富ではあるものの、法律全般に関して知識を持っているわけではないので、会社と金銭的な交渉することは違反に当たるため行えません。

ただし依頼者が務めている会社が労働基準法に定められている労働時間を超えているような勤労を強いていて残業代を一切支払っていなかったり、過去に有給休暇の申請をしたのに受理してもらえなかったなど、明らかに労働基準法に違反しているような事例がみられる場合には「あっせん」代理人という立場で会社側に対して未払い代金などの交渉を別途おこなうことが可能になります。

社労士に頼むと相場より安い場合が多い

社労士に退職代行を依頼することの最大のメリットは費用が安く済むことです。弁護士に退職代行を依頼した場合ですが、もし会社側が訴訟をおこしたとすると着手金と成功報酬を合わせて最低でも30万円ほど必要になるといわれています。

これだけ費用がかかると会社を退職できたとしても大きな出費を強いられることになるでしょう。一方社労士に退職代行を依頼するとたとえ金銭的な交渉が必要となり「あっせん」申請をしたとしても10万円程度ですべての費用を賄うことができます。

顧問弁護士のいない退職代行業者と比べて社労士が安全な理由

現在ではさまざまな業者がサービス代行業者をおこなっていますが、退職という人生において重要なイベントの代行するのであれば社労士など、資格を持っている人が在籍しているところへの依頼を検討しておいたほうが安全です。以下にその理由を解説していきます。

顧問弁護士のいない退職代行業者も存在する

退職代行サービスを行うに当たっては現在のところ特に資格が必要だとは定められていません。ですから中には顧問弁護士がまったく居ないような業者が退職代行サービスをおこなっている場合もあります。

顧問弁護士がいない業者によっては社労士に依頼するよりも安い価格で退職代行サービスをおこなってくれるようなところもあり、依頼する側にとってはとても魅力的な業者に写ります。ところが費用の安さにばかり気を取られていると大きなデメリットを見逃すことになります。

違法である非弁行為をおこなう業者も

会社を運営していくにあたっては口コミなどはその会社のイメージを大きく左右する重要な要素の1つになります。

安い料金でサービスを提供している顧問弁護士の居ない退職代行サービス業者が利益をあげるためにはとにかく依頼された仕事を早く、そして間違いなく遂行することが大切になります。

ですから依頼者に金銭的な要求を会社にしてほしいといわれた場合はついつい会社と交渉してしまうという事例も見られます。ところが先ほども少し触れたとおり、弁護士資格を持っていない人は法律を駆使して相手と交渉することはできません。もしこれに違反するような行為が認められた場合は懲役刑に課せられる場合もあります。

顧問弁護士がいない退職代行サービス業者に退職の依頼をし、万が一その業者が金銭的な交渉などの非弁行為を行ってしまったことが会社側に発覚した場合、退職ができなくなるどころか依頼者本人も会社側からいろいろと追及されることになります。

退職代行業者の非弁のリスクとは?避けるための方法も

社労士は法律や労働法について精通している

その点、社労士ならば法律や労働法に精通しているため非弁行為にあたるような交渉を勝手にすることはありません。

非弁行為をおこなうと社労士本人にとってもダメージ

法律に精通しているということは同時に非弁行為をおこなうと自分自身に大きなダメージがあるということを十分認識しているということになります。ですから万が一のことを考え、退職代行は社労士をはじめとした法律を取り扱う資格を持っている人たちに依頼するようにしましょう。

退職代行を検討しているなら社労士に頼むのもあり

退職したいのになかなか辞めさせてもらえないという人や、退職したいという意思を会社に伝えることができない人にとって退職代行サービスは救世主となるような存在です。

退職代行を依頼する際には費用を安く抑えることができて安全性も高い社労士に依頼することも検討してみてください。