転職して新しい会社に入るときには健康診断書の提出を求められることになります。提出のタイミングは会社によって異なりますが、提出日までに用意しておくことが必要です。そのために必要な手続きについて紹介するので、忘れないようにこなしておきましょう。前職の健康診断結果を使えるのか、受診し忘れてしまったときにどうしたら良いのかについても解説します。
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前職の健康診断結果を使えるかを確認する手順とは
転職するときには健康診断を受けて、医師の診断書を用意する必要があります。会社としては健全な人を採用したいという目的があるからです。労災などの関係で入社した時点での健康状態を確認しておくことも重要ですが、それは厳密には雇用時に行う健康診断で確認する仕組みになっています。
定期健康診断など3ヶ月以内のものは利用できる
現状として健康かどうかを医師の診断の下に判断できる証拠書類として健康診断書が求められますが、有効なものであれば前職のうちに行った健康診断の結果であって問題はありません。原則として健康診断結果は3ヶ月間は有効とされているため、定期健康診断などを3ヶ月以内に受診している場合にはその診断結果を利用できます。
転職先に問い合わせてみるのが賢明
それ以上の期間が経過している場合には転職先に問い合わせてみるのが賢明です。健康診断書の提出を求められたときに、いつの健康診断の結果なら提出できるかを具体的に電話やメールで伝えてみましょう。そして、前職での健康診断で問題ないというのであればその結果を提出すれば問題ありません。もし半年以上も前のものだから古すぎるなどの理由で断られてしまったときには医療機関に行って健康診断を受けましょう。
転職のために健康診断を受けるときには保険証をどうすべきか
健康診断書の提出をするために病院やクリニックなどで健康診断を受けなければならないとなると、保険証をどうすれば良いのかというのが疑問になることがあります。医療機関にかかるときには窓口で健康保険証を提出するのが習慣になっているからです。転職するタイミングでは前職の保険証を使って良いものかどうかと悩む人もいるでしょう。
実は健康診断は保険適用外
あるいは退職してしまっている人の場合には国民健康保険の保険証を使うのか、先に転職先の健康保険に加入して保険証を発行してもらわなければならないのかと悩むかもしれません。しかし、実は健康診断は保険適用外なので病院でもクリニックでも保険証を提出する必要はなく、全額負担で受けることになります。
企業に勤めてない人は実費負担になる
保険証を確認すると言われることもありますが、健康診断のみだという話をすると特に提出を求められずに済むでしょう。ただし、本人確認のために別の本人確認書類の提示を求められることがあるので、もし保険証が手元にないようであれば運転免許証やパスポートなどを持参しておくと安心です。他人の健康診断結果で健康診断書を作ってしまうような問題を起こさないように考えられています。
転職のときに受けなければならない健康診断の項目とは
労働安全衛生規則に記載されている11項目
転職のときに受けなければならない健康診断の項目は場合によって違います。雇入れるときにうけんければならない項目については労働安全衛生規則に記載されている11項目です。既往歴および業務歴の調査、自覚症状および他覚症状の有無の検査が問診によって行われます。
- 身長
- 体重
- 視力
- 聴力
- 胸部エックス線検査
- 血圧検査
- 尿検査
- 貧血検査
- 肝機能検査
- 血中脂質検査の他
- 血糖検査
- 心電図検査
身長、体重、視力および聴力の検査に加えて、胸囲の測定が通常の身体検査のようにして実施されるでしょう。そして、胸部エックス線検査、血圧検査、尿検査といった項目は受けなければなりません。
雇入れのときには必須な項目
貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査の他、血糖検査と心電図検査も雇入れのときには必須とされている項目です。
内定後に健康診断書の提出を求められるときにはこの11項目を受けていれば良いというのが一般的ですが、それ以前に提出を求められたときには一部のみ、あるいはそれ以外の項目についても要求されることがあります。単純に健康診断書の提出を依頼されたときには11項目を満たしているものであれば良いと考えましょう。
特に別に受けなければならないような項目があるときにはその詳細についても伝えてもらえるのであまり気にする必要はありません。
健康診断にかかる費用はどのように処理すべきか
国の見解としては雇用者が持つべき
健康診断を受けるためには全額負担で検査をしてもらわなければなりません。その費用は誰が持つのかというのがしばしば問題になりますが、国の見解としては雇用者が持つべきだとしています。そのため、転職のときには転職先に請求することが可能です。
受ける場所によって5,000円〜10,000円
受ける場所によって5,000円〜10,000円程度の費用がかかるので支払ってもらった方が良いでしょう。
特に指示がない場合には自分から聞いてみることが大切です。予め会社側が契約していて業者払いで対応してくれる病院やクリニックを紹介してくれることもあります。紹介状か身分証明書を持っていけば自分で一切お金を払わずに健康診断を受けることが可能です。
立替払請求書で後日精算も
あるいは立替払いに対応している会社もあります。自分で好きな場所を選んで健康診断を受け、その領収書と明細を提出し、立替払請求書に記入すれば後日に銀行口座に費用を振り込んでもらえたり、入社後に給与と一緒に支払われたりするという形が典型的です。
自腹で健康診断を受けなければならないことも
余計な検査も受けてしまうと対象外となって自腹で健康診断を受けなければならないこともあります。特に立替払いをするときには検査項目についてもう一度確認しておきましょう。
健康診断の結果が提出日に間に合わないときにはどうすべきか
健康診断を受けてから健康診断書が発行されるまでには通常は一週間から二週間程度がかかります。そのため、健康診断書の提出を求められたけれど、その提出日には間に合わないという事態に陥ることもないわけではありません。健康診断を受けていない状況で突然健康診断書を書けるわけではないので、まずは受診の予約を取りましょう。
転職先の会社の採用担当者に連絡
そして、転職先の会社の採用担当者に連絡し、いつ受診予定で、いつ頃になら手に入れられる可能背があるということを伝えるのが大切です。会社の方の手続きが滞ってしまわないように、ある程度は余裕を持って提出を求めていることがよくあります。数日の遅れであれば許容してもらえることが多いのです。
それ以降になってしまう場合であっても連絡しておけば未提出を理由に内定を破棄されるようなことはあまりありません。会社の方の手続きの都合があるので、間に合わないとわかった時点で速やかに連絡を入れましょう。早めに連絡できる場合にはメールでも構いませんが、電話をした方がすぐに話が伝わるので優れています。勤務時間外出ない限りは電話をかけて提出が遅れることを伝えましょう。
健康診断の結果によって落ちるケースとは
健康診断の結果が悪いと落ちる可能性があるのではないかと懸念する人もいるでしょう。健康状態は転職可能かどうかに大きな影響を与えますが、原則として不当な理由により内定を取り消されることはありません。
健康状態から考えて業務を行うのが困難
落ちる例として代表的なのが、健康状態から考えて業務を行うのが困難だという場合です。視力が低くて運転できないのにタクシー運転手に転職しようとしたり、心肺機能に問題があるのに土木工事現場で働こうとしたり、肝臓や腎臓などに病気を抱えていて化学系の研究職になろうとしたりすると内定を取り消されることもあります。
虚偽の内容が含まれていた場合
別のケースとして虚偽の内容が含まれていた場合も考えられます。矯正視力のはずなのに裸眼として記載されていたり、黄疸が出ているのに肝機能が正常となっていたりすると疑われてしまうでしょう。直接取り消しになるよりも再検査や健康診断書の内容の確認がまず求められるのが一般的です。
この他にも医師が診断書に記載ミスをしたために健康状態が不良と判断されて採用を見送るというケースもないわけではありません。この場合には健康診断書をあらためて見直してみると正常であることがわかり、医師に書き直してもらって提出すれば大丈夫です。