退職したい旨を上司に切り出しにくかったり、会社側が辞めさせてくれなかったりして悩んでいる人は多いでしょう。そんな悩みを解決してくれるのが退職に必要な手続きを代わりにやってくれる退職代行です。しかし、登場して間もないサービスなので利用することに不安を感じている人もいるでしょう。実際に利用して退職に失敗した人もいます。
そこでこの記事では退職代行で失敗するケースや利用するうえでの注意点を紹介します。
本人に代わって退職の意思を伝えるサービス
退職代行とはその名の通り退職の意思を会社に伝えてくれるサービスのことを言います。現代にはブラック企業が増え、会社から脅されて辞めたくても会社を辞められないという人は多いです。
また、退職の意思を伝えた後は職場の人からいじめられたり、仲が良かった人と気まずくなってしまったりということも少なくありません。
そこで退職代行に依頼をすれば会社に対して電話で退職の意思を伝えたり、退職手続きをするにあたって会社の間に入って連絡を取ってくれたりするのでストレスなく退職手続きができます。
有給消化の交渉も行ってもらえる
退職をする際、退職を職場に伝えてから退職日までの間出勤するのが気まずくて有給を消化したいと考えている人は多いです。そこで退職代行では退職日までの有給消化に関する交渉も代行してくれます。
ただ、退職代行に依頼して今すぐに退職しようとする場合、急な退職となるために有給を100%消化できない場合があります。
業者によって確実に有給を全て消化できる場合と一部しか消化できないことがあるので、しっかり有給を100%消化できるかどうかを確認したうえで業者を選びましょう。
退職代行で失敗する3つの例
退職代行はしっかりした業者を選べば問題なく退職することができます。しかし、業者選びに失敗してしまうと退職できなかったり、会社から損害賠償を請求されたりしてしまう可能性があります。そうならないように退職代行に依頼して退職に失敗する例を3つ確認しておきましょう。
顧問弁護士がいない業者に頼む
退職代行の業務は調停などと同じく弁護士しかできない法律事務に当てはまります。ただ退職したいという意思を伝えるだけでは基本的に問題ありません。
しかし、退職金の交渉や残業代の交渉などが必要になった場合、これらの行為は法律事務に当てはまるので、弁護士がいない退職代行業者がこれらの業務を行ったら違法です。
そのため、顧問弁護士がいない業者に依頼してしまうと退職金などに関する交渉を自分で行う必要が出てしまったり、退職させてくれない場合に業者が何も対応してくれなかったりする可能性があります。
万が一顧問弁護士がいない退職代行業者を利用して、その業者が弁護士で無いとできない業務を行っていて警察から摘発された場合、警察からの取り調べを受けることになってしまう可能性があります。
それに、ただ退職したいだけなのにトラブルが大きくなってしまうこともあるので注意しましょう。
退職代行会社が架空業者だった
退職代行サービスの知名度が上がるにつれて、「退職したいけれどもできない」という人の気持ちを踏みにじる悪質な業者も存在します。その中でも特に悪質なのが架空業者だったというパターンでしょう。
架空業者だった場合、依頼者からお金を受け取ったら連絡が取れなくなってしまい、依頼金が無駄金になってしまいます。
退職代行に退職手続きを依頼するほど切羽詰まっている状態の人の中には働いた分のお金が支払われないなどしてお金に困っている人もいるでしょう。そんな時に架空業者に依頼をしてしまうと、別の業者に依頼するための費用が手元に残らずに退職できなくなってしまう可能性もあります。
そうならないために退職代行を探す際にはしっかり口コミを調べてから依頼しましょう。
依頼者が依頼を取り消す
退職代行を依頼しておいて自分で依頼を取り消したら退職手続きが中途半端な状態で契約が終わってしまうので退職に失敗してしまう可能性が高いです。
退職する意思を伝えたのに急に手のひらを返して仕事を辞めないと会社に伝えてしまうと会社での人間関係にひびが入ってしまうでしょう。
それに場合によっては無断欠勤が続くことで解雇となってしまう可能性もあります。
そうならないようにするためにも、退職代行に依頼する場合は自分の中で仕事を辞めるという覚悟を決めてから依頼しましょう。
会社都合で退職できない失敗例は現状なし
残業代を支払ってもらえないなど会社から不当な扱いを受けているのに辞めさせてもらえなくて退職代行を利用する場合、自己都合退職ではなく会社都合退職扱いで退職したいでしょう。
しかし、退職代行を使って仕事を辞めると、いきなり会社へ出勤しなくなるために自己都合退職扱いになってしまうケースが存在するので退職代行を利用する際に会社都合扱いになるか心配な人も少なくありません。
そこで法に則って運営されている退職代行業者なら、会社側の法に違反する部分を指摘し、会社都合で退職できるように手配してくれます。
実際に会社側に非がある場合に退職代行に依頼した人の中で会社都合での退職に失敗したという例は現状では存在しておらず、退職代行に依頼しても問題なく会社都合退職ができるでしょう。
退職代行で失敗しないために確認したいこと
先ほど解説したように退職代行を依頼する場合はしっかり業者を見極めないと退職に失敗してしまう可能性があります。問題なく自分に有利な条件で退職するにはどんな点に注意すべきなのでしょうか。そこで退職代行業者を選ぶ際の注意点もチェックしておきましょう。
退職代行会社に顧問弁護士がいるかどうか
退職代行業者を選ぶうえでまず大切なのが顧問弁護士がいるかどうかという点です。先ほど解説した通り顧問弁護士がいない退職代行業者に依頼した場合、トラブルが大きくなってしまうなど依頼者側のリスクが大きくなってしまう可能性があります。
それに対して顧問弁護士がいる退職代行業者なら会社との間に入って退職手続きを進めてくれることから、ストレスなく会社を辞めることができます。
万が一退職後に会社から損害賠償請求のための裁判を起こされたり、転職先の会社に悪評を流されたりしてしまっても弁護士が対応してくれるので安心です。
また、あまりにも悪徳な業者な場合、弁護士資格を持っていないのに弁護士を名乗っていることがあります。弁護士は基本的に日本弁護士連合会のホームページで登録番号と登録している弁護士会を確認することができます。そのため、ホームページに顧問弁護士の名前が書かれていてもその弁護士が実在するのかを確認してから依頼しましょう。
退職代行会社のホームページに特商法に関する記述があるかどうか
特定商取引法(以下特商法)とは新聞やインターネットなどの媒体に広告を掲載する業者に対して悪質・違法な勧誘行為を防止し、消費者の利益を保護するための法律です。
クーリング・オフに関わる記載があることから通信販売を利用する際に知っておくべき法律として知られていますが、退職代行サービスもこの法律が適用されるサービスであり、大半の大手退職代行会社のホームページには特商法に関する記述があります。
特商法に関する記述は代表責任者名や所在地などといった会社の概要の下に記載されていることが多く、特商法に関する記述が無い業者は業者とのトラブルが起こった際に不利になる可能性があるので避けましょう。
なかなか退職できないなら退職代行を利用するのもあり
「会社を辞める時に退職代行を利用するのは甘え」と言う人もいますが、会社を辞めたいのにどうしても辞められないのであればプロに任せるのが最善です。
労働環境が悪くて他の会社に転職したいけれども辞めさせてもらえないなど悩んでいるのであれば、退職代行業者に依頼してストレスなく会社を辞めましょう。