転職活動を行う理由は人それぞれですが、待遇の改善、特に給与アップを希望する人は多いでしょう。しかし、経験年数や役職についている場合はその地位を捨てて新たに仕事を始めるので、前職よりも収入が上がる人は約3人に1人の割合となっています。キャリアアップのために転職をしても、必ずしも給与が上がるわけではありません。しかし交渉のポイントを押さえれば収入が上がる可能性はあるので、参考にしてみてください。
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転職活動での給与交渉の概要とポイント
転職時の給与交渉は主に税込年収で行われるのが基本なので、残業代や交通費などを含めた支払総額ではなく、給与明細や源泉徴収などから現在の給与を正確に把握しておく必要があります。
未経験の職種などの場合は下がる可能性が高い
現在の収入をベースに給与交渉は行われますが、転職によって未経験の業界や職種にチャレンジする場合や、現在役職についているが転職で一般職に応募する場合は収入アップは難しく、良くて現状維持、もしくは下がってしまう可能性があるので注意が必要です。
転職先の業界の給与が低い場合
一方、今の職業が業界内の平均給与よりも大幅に低い場合や、需要の高い専門職などは人材不足や即戦力が必要な場合が多いため、交渉によっては収入アップが期待できます。
給与交渉術は大きく分けて4つのポイントに分けられます。まず応募の段階で履歴書の給与希望額は必ず記入しておき、その希望額の理由も明確に答えられるようにしておきます。
前職の給与額と希望給与額について説明できるように
次に面接に進んだ場合、前職の給与額と希望給与額について説明できるようにしておきます。現在の基本給や手当て、残業がどれくらいあったか、賞与はいくらかなどきちんと説明できるようにしておきます。
業界の平均給与額を調べておくこと
さらに応募する業界の給与平均額などは把握しておくようにしましょう。そして最終面接に進んだ場合、企業側は合否とともに給与額を決定するので給与交渉も大詰めになります。希望額の変更があればここで伝え、自分の経験でどれくらい貢献できるかもアピールします。
最後に内定後ですが、希望に沿わない給与額の場合は再交渉も可能です。しかし、再交渉する根拠ははっきりさせておき説得できるものでないといけません。総じて理由や根拠を明確に説明てきるかどうかが給与交渉の分かれ道と言えるでしょう。
転職時の給与交渉はいつ行うか?
転職活動時の給与交渉のタイミングですが、これを誤るとせっかくの収入アップのチャンスを逃してしまうことになるので気をつけましょう。
転職の仕方は大きく分けて2つあり、ハローワークや求人から自分で応募するものと、転職エージェントなどを利用して紹介してもらう方法があります。給与交渉をいつ行うかは、どちらの方法で応募するかでも変わってきます。
新卒向けのハローワークはこちら
自分で応募した場合:オファー面談で
自分で応募した場合は内定をもらった時にオファー面談と呼ばれるものがあります。面接などであらかじめ給与について聞かれることもありますが、現在の収入、希望年収を伝えます。基本的にどのタイミングでも自分と採用担当者との直接交渉となります。
オファー面談についてはこちらに詳しく書いてありますので、合わせてどうぞ。
転職エージェントがヒアリングする場合
一方、転職エージェントの場合は履歴書はもちろん、エージェントの希望条件のヒアリングのタイミングでまず希望年収を伝えます。エージェントを通して企業側に伝わるため、自分で交渉することはなく、面接では確認だけになっています。
辞退するときにエージェント経由
もし希望に沿わない給与額の場合はエージェントを介した交渉となるので、仮に面接を辞退するにしても気まずい思いをしなくても済みます。ただし、内定後の交渉はほとんどできないので、気になるところがあれば内定までの間に交渉するのがおすすめです。
こうしてみてみると転職エージェントを利用した転職活動の方が給与交渉には向いていると言えるでしょう。エージェントは多くの転職活動を支えてきた経験から各業界、職種に強い人が多く、企業との繋がりも太いため給与交渉もスムーズにできます。
転職の給与交渉を内定後にするには?
転職時の給与交渉は内定までに行う方が望ましいですが、様々な事情で内定後に交渉したい場合もあるでしょう。
先ほど挙げたように転職エージェントを利用した場合は内定後の交渉はかなり難しいのでおすすめできませんが、自分で応募した場合は内定後まで交渉できる余地があります。特に直接交渉になるので、面接官の顔色や反応をみながら交渉できるメリットがあります。
内定後に給与交渉を行う場合
内定後に給与交渉を行う場合、3つポイントがありますが、基本的にこのタイミングでの交渉は最終手段で、内定辞退も視野に入れた上でのことになります。それを踏まえ、まず交渉はメールで行うことです。
メールで整理して交渉する
内定を受けたあとの交渉はこちらの方からアプローチする形になるので、企業側は一旦決めたことを再度検討することになります。その為審議や結論を急かさないためにメールで交渉すると良いでしょう。
自分にとって必要不可欠であることを伝える
次に希望給与額が自分にとって必要不可欠であることを伝えることです。企業側は、前職の経験や収入から給与額を決定しますが、その人の生活水準、経済状況までは知り得ません。希望給与額がもらえないと生活が維持できないなど、給与を上げることをやむを得ない、という状況を作るのが大切になります。
給与額に固執しないこと
そして最後に給与額に固執しないことです。ただ高い給与がほしい、とアピールするのではなく、あくまでも生活のためにこれだけの給与がほしい、というアピールの仕方をするのが内定後の交渉ではポイントになってきます。
転職時における給与交渉の成功するポイント
転職活動で給与交渉をし成功するポイントは3つあります。
月額給与の内訳や年収を説明できること
まず、月額給与の内訳や年収をきちんと説明できることです。希望給与額を決めるためには現在の給与額、残業代や交通費、役職手当てや賞与などを正確に把握する必要があります。それらを踏まえた上で記入します。
面接でもこの内訳などは基本的に質問されることなのできちんと説明できるようにしておきます。前職の給与をきちんと理解できているという印象を面接官に与えられれば、それだけ説得力があり給与交渉もしやすくスムーズに進みます。
自信を持って説明できること
次に、自信を持って説明できることです。希望給与額を提示し、前職の給与に関してもきちんと答えられているなら自信を持ってこれくらいの額面が欲しい、と伝えて問題ありません。おそらく面接官も事前情報と面接時の差がないこと、差があってもきちんと内訳を説明できていることで良い印象を持っているので、給与交渉は成功していると言って良いでしょう。
面接官の反応をよく確認すること
そして最後に、面接官の反応をよく確認することです。上のように給与の内訳や希望給与額の根拠について明確に説明できると面接官の印象も良く、突っ込まれることはあまりありません。しかし、その表情や質問内容によっては微調整する必要もあります。
こちらが根拠をはっきり伝えられているとしても、面接官が何回か訊ねてくる場合は給与額と本人の技量、企業側が提示する金額とにギャップがある証拠です。面接官の反応をよく確認して軌道修正し、給与交渉を進めていくと希望の額面を提示してもらえる可能性がぐんと上がります。
転職において給与交渉で失敗したケースのポイント
転職活動の給与交渉での失敗例のポイントをまとめていますが、どれもやってしまいがちなことなので注意するようにしましょう。
応募時に企業側に提出した情報と面接での情報に差がある場合
まず、応募時に企業側に提出した情報と面接での情報に差がある場合です。応募時に希望給与額や前職年収などを書く欄は必ず埋めておきますが、あまり高い希望額を書いてしまうと書類審査で落とされてしまうと考え低く書いてしまう人がいます。
転職エージェントに依頼するときも内定が欲しくて、希望金額を低く設定してしまう方もいますが、注意が必要です。
また、前職年収も内訳を把握せず書いている人もいます。いずれにしても、これらの事前情報を元に面接官は面接するので、面接の際に、実は希望年収はこれくらいです、前職では残業代ももらってました、と差があると、面接官及びその上司や役員も混乱してしまいます。その結果面接で落とされてしまう可能性があるのです。
希望給与額をはっきり書かなかった(言わなかった)場合
次に、希望給与額をはっきり書かなかった場合です。経験や実績があり、前職の年収や内訳、志望動機なども明確に答えられ、面接官の評価もすこぶる高い人であっても、履歴書の希望給与額や面接での希望年収について「御社の規定に従います」と答えてしまうのは失敗例です。
模範的で印象も良いように思われますが、規定に従う、となると転職して一からのスタートなのでほぼ新卒時の給与額になってしまいます。明確に答えないことで大幅に年収が下がってしまうことを覚えておきましょう。
提示された額面の内訳を確認しなかった場合
そして最後に、提示された額面の内訳を確認しなかった場合です。前職で残業が多く、次は残業の少ない企業で働こうと転職する場合、おそらく年収は下がることが多いです。しかし低い給与を提示されても残業が少ないと思えば前職と変わらないか好条件の可能性があります。額面で給与交渉するかを判断せずに、仕事量に対する金額で判断することが大切です。
転職時の給与交渉をメールでする際の例文とポイント
給与交渉はズバリお金の話なので、面と向かって交渉するのは抵抗がある人もいます。そういう場合はメールで交渉するのもひとつの手です。
対面とメールと電話の場合がある
交渉手段の優先順位としては対面、メール、電話での交渉となりますが、対面で給与の話はしづらい、良い印象を与えないのでは、と思う人も多いでしょう。また、電話での交渉は顔が見えない上、結論も出ないことがほとんどなので、こちらも企業側も双方に考える余地のあるメールがおすすめです。
メールを送るときの例文
企業に送るメールの例文は採用段階により異なりますが、面接中に送るメールの例文としては以下のようになります。
「この度面接の機会をいただき、ありがとうございました。また、貴重なお時間をいただきありがとうございました。お伺いした貴社の業務内容や方針などで、貴社で働きたいという気持ちがより強まりました。
本日は大変恐縮なのですが、面接時にご質問のあった希望給与額についてご相談したくご連絡させていただきました。面接時にもお伝えしたかとは思いますが、前職の年収で生活が成り立っておりますので、これ以下になってしまうと生活に支障が生じてしまう恐れがあります。ご多忙中かとは思いますが、この点ご検討いただいてもよろしいでしょうか。何卒、宜しくお願いいたします。」
大幅アップを希望してる訳ではないことは伝える
が良いでしょう。転職によって大幅な年収アップを希望してはいないこと、生活面に支障が出る恐れがあることなどを盛り込み、面接官に良い印象を与えることがメールでの給与交渉のポイントです。